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チーム内勉強会の進め方事例

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おはようございます!こんにちは!場合によってはこんばんわ!

SREチームマネージャーの藤原です。

今年の3月からSREチームの中で、勉強会を定期的に実施するようになりました。 本エントリでは勉強会を開催するにあたって考えたことと、実際の進め方についての事例解説です。

勉強会を通じて実現したいことの説明から、テーマ設定、効果最大化のための開催形態と頻度、現時点(2024/4・5時点)の結果について解説しています。

勉強会を通じて実現したいこと

チーム内勉強会を通じて実現したいこととして、以下を設定していました。

  1. チーム・個人としてのレベルアップ
  2. 積極的な議論への参加
  3. 相互理解
  4. チームとしての目線合わせ

勉強会を開催するからには何かしらのスキルや考え方を身に付けたいはずです。 また、学習効果を最大化するためにも、積極的な議論への参加を実現したいと考えました。 さらには、勉強会の中での議論を通じてチームメンバーが常日頃考えていることをメンバー間で相互に理解し、その上で今後のチームとしての取り組みについてメンバー間で目線のすり合わせをしたいと考えました。

基本的にはこれらの項目を実現できるような材料(テーマ)設定や開催形態を考えました。

勉強会の材料(テーマ)設定

勉強会としては、一種の読書会形式としました。題材としては、The DevOps ハンドブック 理論・原則・実践のすべてを選びました。

少し古い書籍では有りますが、名著として評価がある程度定まっている書籍であるため、適切に勉強会を運営さえできれば組織・チームとしてのレベルアップに確実に繋がるであろうということを考えて選定しました。もっと直接的に業務に役立つような書籍(たとえば、詳解Terraformなど)も材料として検討しました。

この書籍自体はTerraformについて学ぶという意味合いではまちがいなく良書です。今回の題材が一通り終わったのちに具体的な技術を掘り下げる際には第一候補となり得ます。 一方で今後の組織として取り組みを進めていく上でメンバーの目線を揃えるという意味では、特定の技術について深ぼるよりは、その前提となる考え方、取り組み姿勢の観点を学べる書籍がよかろうという結論に至りました。

勉強会の効果を最大化するために考えたこと

私自身の経験の観点でもなんとなく本を読んだりしだだけよりも、他の人と議論をしたり、教えたりした場合の方が効率的ですし、ラーニングピラミッドのような観点からも、議論したり教えあったりということが学習効果の最大化には良いようです。

career-ed-lab.mynavi.jp

一方的に情報を受け取るだけでなく、相互にコミュニケーションをすることで学習効果を最大化することを意図して、開催形態や頻度を考えました。

開催頻度・時間

頻度が低すぎると前回の内容を忘れてしまうこと、頻度が高すぎると日常業務に支障が出ることからから、業務時間中に週1回の開催としました。 1回あたりの時間が短すぎると本論としての議論が中途半端になってしまうこと、長すぎると議論がだらけてしまうことから、適度な長さとして45分と仮決めしました。 結果、毎週水曜日に45分間実施しています。

開催形態

勉強会の開催形態としてはさまざまな形があると思います。 講義形態もあればハンズオン形態もあります。それぞれの形態にも長所・短所があります。 現在実施している勉強会では、以下の3つを意識しています。

  1. ひと通り対象書籍は読み通すこと
  2. 勉強会の準備が負担となりすぎないこと
  3. 積極的な発言、議論につながること

具体的な勉強会の開催形態としては、次のように進めました。

開催前までにやることと、開催時にやることの2つがあります。

開催前は対象となる章(1回あたり2章を想定)を読みます。 読んだ内容のうち気になる文言をひたすらGoogle Docsに引き写します。 引き写した文章にたいして、自身の感想やエピソード、そのほか追加情報(たとえば似たような内容の記述のある他書籍の紹介など)があれば記述します。

勉強会当日は、参加者ごとにメモした部分について軽く説明してもらいます。他の参加者はそれらにコメントや、感想を投げかけたり、場合によっては反論したりします。また事前に準備したGoogle docsに、当日議論した内容をログとして残したり、Google docsのコメント機能でコメントを追加したりもします。

そのような形で、勉強会の開催前に考えたこと、勉強会の最中に他の人が考えたことを受け止めつつ、自身が他の人が考えたことをどう捉えたかをフィードバックするといった形で勉強会を進めています。

結果としてどうなのか(現時点 2024/4時点での感触)

結果としては、チームの学びの場として機能していると思います。

積極的な議論といった観点ではかなりうまくいっています。1回の開催でA4サイズでおおよそ3ページ、Google Docsのコメントで30コメント強程度の分量になります。 45分では少し足りないかもしれないくらいの感覚は少しありますが、次回もっと議論したいという飢餓感に似た感覚を持ち続けるにはちょうど良い開催時間になっています。

勉強会のログ(具体的な中身については非公開です)

勉強会の準備についても、書籍を読み進めた上で気になった部分を抜き出すことが準備としてはミニマムなので、さほど準備の負担にもなっていないようです。

具体的な学びについては、勉強会の中で、”対象の捉え方としてそのような捉え方をしたことがなかった”といった新しい視点を身につけられたり、”よく言われるプラクティスがどのような経緯で出来上がったものなのか理解できた”といったフィードバックが得られています。参加者からも勉強会を有意義なものだと感じてもらえているようです。

勉強会についての参加者フィードバックの例

書籍的には特定のツールやテクノロジーにたいしてのスキルを向上させるものではないので、すぐには効果は出ないと思います。 考え方や取り組み姿勢に関わる部分なため、中長期的にさまざまな局面で効果が出るであろうことを期待しています。

今後は、学びをチームとしての成果にいかに繋げていくことができるか、勉強会参加者のモチベーションをどう高く維持していくかが試されそうです。